福島地方裁判所 昭和41年(わ)142号 判決 1967年3月14日
本店
東京都台東区東上野三丁目一五番六号
丸光産業株式会社
右代表者代表取締役
高田光男
本籍
福島県郡山市細沼町五五番地
住居
同町一一番一三号
株式会社代表取締役 高田光男
大正四年一月一九日生
右両名に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官大山泰造出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人丸光産業株式会社を罰金一二〇万円に、
被告人高田光男を懲役四月に、
それぞれ処する。
ただし被告人高田光男に対しこの裁判確定の日から二年間
右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人丸光産業株式会社は、東京都台東区東上野三丁目一五番六号に本店を有し、福島県郡山市大島下一丁目二番地に郡山工場を設け、各種繊維製品(生理帯、肌着、ベルト腹帯)等の製造販売を目的とする資本金一、二〇〇万円の株式会社であり、被告人高田光男は、右会社の代表取締役としてのその業務全般を統轄する者であるが、被告人高田光男は、被告人会社の業務に関し被告人会社に対する法人税を免れる目的をもつて、売上の一部除外、旅費交通費の架空計上等の不正の手段によりその所得の一部を秘匿し、
第一、被告会社の昭和三十七年八月一日から同三八年七月三一日までの事業年度における実際の所得金額は八、四〇六、二五七円で、これに対する法人税額が三、〇九四、三五〇円であるのにかかわらず、昭和三八年九月三〇日、所轄下谷税務署長に対し、当該事業年度の所得金額は四五〇、二七二円の欠損である旨虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて被告人会社の右事業年度の法人税額三、〇九四、三五〇円をほ脱し
第二、被告人会社の昭和三八年八月一日から同三九年七月三一日までの事業年度における実際の所得金額は二一、一六七、二二三円でこれに対する法人税額が七、八四二、一九〇円であるのにかかわらず昭和三九年九月二九日、所轄下谷税務署長に対し、当該事業年度の所得金額は九、三九七、八四七円である旨虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて被告人会社の右事業年度の正規の法人税額と右申告所得額に基づく税額三、三七〇、四六〇円(ただし留保税額を含まない)との差額四、四七一、七三〇円をほ脱し
たものである。
(証拠の標目)
一、被告人高田光男の当公判廷における供述
一、被告人高田光男の検察官に対する供述調書二通、同被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書一五通および同被告人作成の上申書一通
一、被告人高田光男および常松トシ連名の上申書六通
一、被告人高田光男および阿部博子連名の上申書二通
一、常松トシの検察官に対する供述調書、同人の大蔵事務官に対する質問てん末書五通および同人作成の上申書二通
一、阿部博子の検察官に対する供述調書、同人の大蔵事務官に対する質問てん末書二通および同人作成の上申書三通
一、白石浩己、高田良平、本田清、国分守、八城政基、村田豊美、内田賢治および増子寿幸の大蔵事務官に対する各質問てん末書
一、高田良平、本田清、佐藤直人および小口富夫各作成の上申書
一、白石浩己および阿部博子連名の上申書
一、青木和子の検察官に対する供述調書
一、大蔵事務官阿部真一作成の「銀行調査書」、「株式取引調査書」、「固定資産減価償却の明細表」、「法人税額の修正申告書謄本」、「未納事業税計算明細表」、「脱税額計算書」(二通)と各題する書面
一、大河内友太郎および常松金悟連名の「取引内容証明書」と題する書面
一、登記官富坂正夫作成の登記簿懲本
一、押印してある法人税確定申告書二通(昭和四二年押第六号の一および二)、日誌一冊(同号の三)、金銭出納帳一冊(同号の四)
(法令の適用)
被告人丸光産業株式会社の判示各所為は、いずれも法人税法(昭和四〇年法律第三四号)附則第一九条、右法律による改正前の法人税法第五一条第一項、第四八条第一項(第一八条第一項)に各該当するが、右の各罪は刑法第四五条前段の併合罪なので、同法第四八条第二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で、右被告人会社を罰金一二〇万円に処する。
被告人高田光男の判示各所為は、いずれも法人税法(昭和四〇年法律第三四号)附則第一九条右法律による改正前の法人税法第四八条第一項(第一八条第一項)に各該当するので、いずれも所定刑中懲役刑を選択し、右の各罪は刑法第四五条前段の併合罪なので、同法第四七条本文、第一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で、右被告人を懲役四月に処し、情状により同法第二五条第二項を適用してこの裁判を確定した日から二年間右刑の執行を猶予する。
よつて主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 中村護 裁判官 野口喜蔵 裁判官 堺和之)